働き方改革や、コロナの影響で副業をする人が増えています。
副業を解禁する会社も多くなっていますが、副業を禁止している会社はまだまだあります。
そんな副業禁止の会社で働いている人たちに向けて
- 副業禁止はどこまで拘束力があるのか?
- 副業ってそもそもバレるの?
- 副業禁止のルールを破るとどうなるのか?
などを解説していきます。
副業禁止のルールは?
まずは、副業禁止のルールについて確認していきましょう。
憲法では副業禁止のルールはない
憲法では、副業禁止に関するルールはありません。
日本国憲法第22条1項では「職業選択の自由」が保障されているため、副業を行うことに関しても個人の判断で行えるということになります。
会社の就業時間以外は、個人のプライベートの時間のため、何をしても自由です。
第22条第1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
就業規則で副業を禁止されている
副業禁止されているとすれば、会社の就業規則に記載されているということになります。
憲法で、副業をすることは自由とされていることに対して、就業規則で副業禁止にするのは、法律違反では?と思う方もいると思います。
しかし、憲法はあくまで国民の権利と自由を国家権力から守る決まりで、企業と社員間の決まりごとである就業規則には適応されません。
よって就業規則で、副業禁止にしても法律違反にはならないのです。
労働基準法にも副業に関することは、書かれていないため、労働基準法違反にも該当しません。
公務員は基本的に副業禁止?
憲法では、副業を禁止されていない一方で公務員は、国家公務員法・地方公務員法によって副業が禁止されています。
公務員は、国民に対しての奉仕者という立場であるため、副業をすることで特定の業種に利益を与えると思われるのは、大きなナイナスであるため、禁止されています。
ただし、最近では公務員も副業が解禁されつつあります。
兵庫県神戸市では、震災などの影響でNPO法人や地域復興団体での「人手不足」「労働任公の低下」が起こったため、復興活動を進めるうえで、公務員が積極的に活動に参加できるよう副業が解禁されました。
ただ、ほとんどの地区で公務員は、副業を禁止されているというのが現状です。
地方公務員法第38条
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
結局のところ副業禁止はどこまで効果があるの?
憲法や、労働基準法では副業は禁止されていませんが、就業規則で副業が禁止されている場合、どこまで副業禁止ルールの効果が発揮されるのでしょうか?
会社側としては、副業をしたことにより会社に損害を与えられては困ります。
そのため、就業規則に副業禁止のルールを設けて、会社に損害を与えるリスクを減らす必要があります。
例えば、副業を理由に会社が懲戒処分できる判断材料として以下があります。
- 本業に支障を与えたかどうか
- 意図的に同業他社で働いたか
- 本業の会社の信頼を失う行為をしたか
副業禁止しているにも関わらずルールを破り、会社に損害を与える行為を行った場合、減給、降格、懲戒解雇の対象になってしまう危険性があります。
会社が副業を禁止する理由とは?
従業員が副業を行ったことにより、会社に損害を与えるといったことがあります。
会社側は、会社に不利益となるリスクを避けるため、副業を禁止する必要があるのです。
では、どんな場合に会社に損害を与えてしまうのかについてみていきましょう。
本業に支障をきたす恐れがある
本業以外のプライベートな時間を利用して、副業を行うのが基本ですが、スケジュール管理が甘く、副業に追われてしまい、本業に支障をきたすといったことがあります。
例えば
- 副業の仕事をしすぎて睡眠不足になり、本来のパフォーマンスで本業をこなせなくなった
- 本業の就業時間中にも関わらず、副業の作業をしている
- 副業の影響で、遅刻や欠勤などが多くなった
ということが副業をしたことによって、起こってしまう場合があります。
こんな事態にならないよう副業を禁止している会社は多くなっています。
長時間労働につながる危険性がある
会社は、従業員の健康を守るという義務もあります。
本業では、定時で退社させているのに、副業をすることによって長時間労働となってしまい、健康に被害がでるといったリスクを避けたいという理由もあります。
人材が失われる可能性を避ける
会社は、優秀な人材や、せっかく育てた人材を手放したくありません。
副業を始めたことによって、本業よりも稼げる目途が立ち、独立・起業し、会社を辞めてしまうといったことが起こらないようにするといったことも理由のひとつです。
情報漏洩のリスクを回避する
副業を行うと、様々なクライアントと関わることが多くなってきます。
そういったときに会社の情報を漏らしてしまい、情報が漏洩したり、会社の技術が他社に渡ってしまうといったことも起こる可能性があります。
副業がバレる仕組み
副業をしてもバレないと思っている人もいるかもしれませんが、基本的にはバレてしまいます。
バレる仕組みとしては、「住民税額」にあります。
住民税額は「会社の給与 + 副業の収入」で算出されるため、「〇〇さんの住民税が給与額に対して多いな」といったように感づかれてしまい、バレてしまうといったことがあります。
また、副業の所得が20万円以上の場合、副業についても確定申告を行わなければいけません。
確定申告の仕方や、申告ミスがあった場合、会社に通知が行くことがあり、バレてしまいます。
副業禁止を破るとどうなる?
前述でも記載したとおり、副業禁止のルールを破ると以下のリスクがあります。
- 減給
- 降格
- 懲戒解雇
上記の懲罰が与えられる条件としては、以下のとおりとなります。
- 本業に支障を与えたかどうか
- 意図的に同業他社で働いたか
- 本業での会社の信頼を失う行為をしたか
憲法や労働基準法では、副業禁止ルールはありませんが、会社に損害を与えるようなことをした場合は、懲戒処分が下されてしまいますので、十分気を付けましょう。
まとめ
まとめるとこんな感じです。
- 副業禁止は、会社の就業規則に記載されている
- 副業禁止ルールを破り、会社に損害を与えるようなことを行った場合、懲戒処分の可能性あり
- 本業に支障をきたす恐れがある
- 社員が長時間労働になりえる事態を避ける
- 人材を失うリスクを避けたい
- 情報漏洩のリスクを避ける
- 住民税額の違い(住民税額は「会社の給与 + 副業の収入」で算出されるため、金額が多いとバレる)
- 確定申告より会社に通知
- 減給
- 降格
- 懲戒解雇
- 本業に支障を与えたかどうか
- 意図的に同業他社で働いたか
- 本業での会社の信頼を失う行為をしたか
副業禁止されている会社で、副業を隠れて行うことは、リスクがあるため、おすすめしません。
副業をする場合は、会社の就業規則を読み、禁止されていないことを確認してから副業を始めると良いかと思います。